コンサル業界でのキャリアの積み重ね方

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コンサル業界ではマネージャーがキャリアの大きな節目です。マネージャーまではプロジェクトの中で成果をだしていくことが求められますが、それ以降の役職では、そもそも求められる役割がガラッと変わります。そのためマネージャーという節目をむかえたときに、コンサル業界でキャリアをそのまま築いていくか、事業会社にキャリアチェンジをするかについて悩まれる方が多くいらっしゃいます。
今回は、コンサル業界でキャリアを築いていく場合を中心に私の考えを書いていきたいと思います。


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まずは将来のキャリアを考える

まず、最初に考えていただきたいのが今後もコンサルティング業界でキャリアを築いていくのか、それとも事業会社でキャリアを築いていきたいのか、ということです。

後者の場合には、「何をやりたいのか」を明確にすることが特に重要です。例えば、同じ企画職であっても、事業企画系のポジションと管理会計的なポジションでは業務内容や求められるスキルセットが大きく変わります。ファームtoファームの転職を考えている場合には、そのスキルセットが得られるファームに転職するべきですし、もしくは、コンサルティングファーム出身であれば未経験であっても採用してくれる事業会社もあるため、ファームtoファームではなく、事業会社への転職も視野に入れることをお勧めします。

また、コンサルティング業界でキャリアを築いていく場合でも、年収やブランドではなく、今までの経験やスキルと目指すキャリアを踏まえて、今後自分にとって必要になる業務内容やタイトル(職位)を判断することが大切です。なぜなら、コンサルティング業界でキャリアを築いていくためには、身に着けたい専門性に結び付くプロジェクトにおいて、必要なスキルを磨けるポジションで早くから仕事ができることが大切だからです。
例えば、いままで金融領域で業務改善を経験してきており、今年マネージャーに昇格し、将来的にはパートナーになりたいと思っているとします。その場合には今の領域をさらに深堀するのか、新しい領域に挑戦するのであればどのように広げていくのかも検討する必要があります。また、マネージャーのうちからセールスも経験していく必要があるかもしれません。また、後述するように、実際にはパートナーになるためには2ソリューション×2インダストリー以上の専門性が求められます。そこまで考えてから、それらの経験がとれる環境に身を置くためにはどうしたらよいかを考えていく必要があります。

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パートナーとエキスパート

少しパートナーについて触れましたが、以前までであれば、コンサルティングファームのキャリアの最高職位といえばパートナーでした。しかし、最近ではエキスパートという職位を用意するファームも増えてきました。
コンサルティング業界でキャリアを築いていく上での目標地点を知っておく意味で、この2つの職位について少し説明します。

パートナーは以下の記事でも説明したことがありますが、セールス(提案活動)とファーム経営の役割を担う職位です。
blog.ryo-okui-assign.com
パートナーには、2ソリューション×2インダストリー以上の専門性が求められますので、パートナーを目指すのであれば、転職などの機会に新しいソリューションやインダストリーに挑戦していくことも必要です。
また、部下のマネジメントスキルのみならず、顧客とのリレーションを築くスキルも大切ですので、顧客折衝の機会が増えるマネージャーのうちから、アサインされているプロジェクトをこなすだけでなく、新たな案件獲得のための提案活動を積極的に行うと良いと思います。
ちなみに、パートナーとして転職する場合には、どのクライアントとリレーションがあり、部下からどれくらい信頼されているかが見られます。

エキスパートはその名の通り、専門性をとことん高めた職位です。パートナーは数億円規模の売上を一定年数維持することが求められるため精神的負荷が大きいという理由や、純粋にプロジェクトの中でバリューを発揮したいという理由などで、最近はパートナーではなくエキスパートを目指す方も多くいらっしゃいます。
セールスのスキルはあまり求められませんが、特定の分野で業界屈指の専門性を持つことが求められます。

どのようなファームに移るべきか

年収やブランドではなく、業務内容やタイトル(職位)にこだわるべきということは述べた通りですが、シニアコンサルタントやマネージャーなどの方は、どのインダストリーやソリューションで専門性を高めるかを決めたうえで、それが得られる環境かどうかを一番大切にしてほしいと思います。どこのファームで働くか、ではなく、なにができるかが大切です。今いる環境では目指す専門性が得られない場合には、たとえ年収やタイトルが下がろうとも、転職によってインダストリーやソリューションガラッと変更することも視野に入れると良いと思います。また、ファームによってセールスができる職位が異なりますので、職位の裁量権にも注意しましょう。

アソシエイトなど若手の方も基本的には、同じように将来のキャリアを見据えたうえで、(若手は自分で案件をとってくることはほとんどないので、)自身がやりたい領域のプロジェクト事例があるかどうか、そしてアサインメントの自由がききやすいか(自身の希望が通りやすいか)を検討することも必要です。後者については、HPなど確認することは難しいので、ファーム事情に詳しい方に聞く必要があります。

マネージャーから先にいくために

ほとんどのファームでマネージャーまでの道のりはそこまで険しくはありません。しかし、マネージャー以上の職位ではより一層の実力が求められ、険しい道のりとなります。
そこで最後に、私がこれまで見てきた方の中で、昇進していったマネージャーやシニアマネージャーの特徴を紹介します。

  • 提案活動で結果を出し続け、年間売上数億円のビッククライアントがいる
  • 自身の緩いチームを作り始めている(明確なチームとして活動しているわけではないが、チームのように動き、信頼関係が構築できている)
  • 2つ以上のファームで活躍している


冒頭でも紹介したように、コンサル業界ではマネージャーがキャリアの大きな節目であり、それ以降は求められる役割がガラッと変わります。そこを踏まえたうえで、コンサル業界でキャリアをそのまま築いていくか、事業会社へのキャリアチェンジを視野に入れるのかを考える必要があります。どちらにせよ、ご自身の描いたキャリアが実現できる環境に身を置くことが大切です。
今まで築き上げてきたキャリアを、今後最大限に活かし、豊かなキャリアを歩んでいっていただきたいと思っております。コンサルティングファームで活躍されている方にとって、この記事が少しでもキャリア形成の参考になりましたら幸いです。